2013-10-27

波しぶき


これは先日、10/16の写真。

台風による大風+高潮で、正午ちかくは

釜石、根浜海岸にもかなりの高波が寄せました。

近くの道(海に一番近いカーブのところ)は

数時間通行止め。

あまりの波のはげしさに、ドキリ。

「風向きによって、波が高くなるときは高くなるよ」

と、知人のさり気ないことば。

とはいえ……(とても聞くことはできなかったけれど)

正直、あの日のことを思い出して、気持ちはザワザワ

していたんじゃないだろうか…。

   *    *    *

近隣では人的被害こそなかったものの、やはり被害は

ありました。係留していた漁船が横転したり、

時折立ち寄るcafe(手づくりの建物)が風で飛ばされたり。

「津波でなんにもなくなっちゃったから、風通しいいんだろうな」

「震災から2年以上たって、なんだかんだ言って、けっこう

荷物が増えちゃってて。吹き飛ばされて、改めて再スタート

しろってことかな」

苦笑気味の、知人のことば。

ー自然と対峙して生きるー

この自然の厳しさ、人間のたくましさと諦めと

ユーモアのゆらぎと

被災地は、今生きるのにいちばんだいじなことを

考えさせてくれる場所だと思います。

どんな形でもいい、多くの方に来てもらって、

今を見て、何かを感じてもらえたらと願っています。

 

 

 

 

 

 




2013-10-21

あか抜けないやつ


釜石に来る前に、埼玉の実家の稲刈りを

手伝ってきました。

今年のできは、なかなか。

実も一粒一粒がふっくら、穂に着く実の数も多かった様子

(トータルの収穫量が前年より多かったので)

   *      *      *

これが、オラが田んぼや畑に出るときの定番スタイル。

麦わら帽子の広いつばは、日差し避けにぴったり。

首にはしっかり手ぬぐいか薄手のタオルを巻いて。

(宝来館の営業じゃないけど…

ド派でなサングラスは、学生時代に使っていた

スキー用の偏光グラス。(20数年前の代物。物持ちいい?)

捨てなくてよかったー。

長靴はいて、鎌持って、家の近所をウロウロ・テクテク。

 

お勤め(都内)時代は、「お前は何年たってもあか抜けねーなー」

とよく言われ、「クソー!」と思っていましたが、

今は、「しょうがねーべー、もともと田舎モンなんだから。

これがオラだー」と、すっかり開き直り。

気楽、がいちばん!

(でも親には「若いんだから、もう少しおしゃれして…」と

懇願され……あまりかまわないのも、まずいか?)

 

 

 




2013-10-20

むっちゃんのキヌガサタケ!


これは先月のことですが。

釜石の栗林地区内にある仮設住宅を訪ねるため、

車で川沿いの道を走っていると……

白い棒のような妙な物を持って歩いている

おばちゃんを追い越しました。

探究心旺盛のわたしとしては、知らないこと、

理解しがたいものは、「この目で見て、納得すっぺし」。

すぐに車を止めて、

「おばちゃーん、それなあにー?」と。

    *     *     *

その人は、話をしたら、何たら知り合いの知り合いで、

むっちゃん、というおばちゃんでした。

「おめ(お前)、これ知らねえのか?」

「初めて見だー、なんだべ、これ?」

「これはな、キヌガサタケっていうキノコで高級なんだぞ〜」

「へーーーーーっ、(それにしてもすごい形!)」

あとで調べたら、スッポンタケ科のキノコとのこと。

傘の下にレース状の網がドレスみたいにかかるところから、

「キノコの女王」とも呼ばれている一品とか。

うむ……でも、食べるの、ちょっとこわいなあ……。

なんでも、むっちゃん曰く

「松茸よりうめんだ〜」。また、

「朝見だどきはよ、卵みてえな袋の上の方が割けててよ、

夕方見に行ったら、そこから育ったのが、

こったら大ぎくなってたんだ」

えーーーっ、半日で30cmも成長???!!!

やっぱり菌類は、我々の想像を超える

ふしぎちゃんですなあ。

   *     *     *

探究心いっぱいの私としては、毒キノコでないとわかれば、

(どんなお味だべ、一口くらい味見を……)

ノドまで出かかりましたが、むっちゃんの連発する

「高級なんだー、めずらしいんだぞー」

の力強いことばに、それ以上何も言えず…。

後ろ髪引かれる思いで、

「せめて写真だけは……」とパシャッ。

…そのかわり、むっちゃんからは「サルナシ(コカ)」を

いただきました。長年気になりつつ、まだ食べたことがなかった

念願のサルナシ。ねっとり甘いけれどさわやか。

野趣あふれ、なかなかの美味でした。

シャーベットにしても合いそう!

(キノコより安心して食べられました)




2013-10-18

凍天!(しみてん)


先日、釜石に来る途中、

東北自動車道の国見SA(下り)でみつけた

凍天!(しみてん)

あの、ケンミンショーでも

紹介していた凍天!

こういうのにはあまり反応しないわたしですが、

こればかりは「どんな味かためしてみたいなあ」

とひそかに思っていた矢先、

思わぬところで遭遇。

甘さ控えめのドーナツ生地の中に、

あんこではなく、腰のあるよもぎ?餅が鎮座。

なんとも素朴で、どこか懐かしい味でした。

わたしは大好きです。

それにしても、なんともまあ、間抜け顔。

おはずかしや…。

 




2013-10-18

大槌湾、月の道現る


あっという間に10月半ば。

今週はじめから釜石に来ています。

朝晩、寒っ! (ちなみに、今朝6時は5℃)

先日の台風の荒波もすごかったです。

こちらは大きな被害がなかったですが、

伊豆大島のニュースには目を覆いました。

テレビのニュースを見ていた知り合いは、

「津波と同じだ(津波みたいだ)……」と。

とても他人事には思えなかったのだと思います。

被害にあわれた多くの方々に、心よりお見舞い申し上げます。

・・・・・・・・

今日、こちらはすっかり晴れて、波も静かで、

ほんとうにスッキリしたいい日でした。

夕景もこの通り。

満月で明るく、月の道が現れました。

きっと、空気も澄んでいるから余計にきれいに

見えるのだと思います。

サンマも脂がのって、うんめー時期。

みなさん、ぜひ東北&東北沿岸部においでんせ!

 




2013-09-07

ジャングル・ハウス


この春から、釜石へ行ったきりで、

ほとんど家にいることがありませんでした。

この夏、埼玉の熊谷近くの猛暑からは逃げ切って、

かなり涼しく過ごせたものの、久しぶりに帰れば、

庭はワイルド・ガーデンを越えて、雑草ジャングルに。

畑なんて、もっとたいへん。

ハテ、どうしたものかと頭を悩ませるこの数日です。

……と言っているうちに、またあちこち出かけなければ

ならず、結局手がつけられないまま、

晩秋になってしまいそうな。

そういえば、去年は、久しぶりに家に帰ったら、

かわいいコウモリが天井で留守番をしてくれていたっけ。

今年は……? 

 

そう、釜石では、もうナナカマドが色づきはじめていました。

朝晩もかなり涼しくて、長袖シャツを羽織るくらい。

すごしやすいけれど、被災跡地に吹く秋風は

ふっとというか、スッとというか、

時折、身に差し込むように感じるときがあります。

人恋しくなります。

これから寒くなる季節を乗り越えるためにも、

どうぞ多くの方々のお出でを、お待ちしております。

海の幸も、これからが脂がのって、おいしいですよー。

 

 

 

 

 


2013-04-23

還らないもの


お天気も落ち着いていたので、

しばらく出かける前にと、終日畑へ。

ミニトラクターで畑を耕すと、思ってもないところで出てくる、ビニールやプラスチックの破片。便利と思って使ったビニールシートやプラスチック札、その他のものが、劣化してパリパリ・ビリビリになって……茶色いフカフカの土の中で、ものすごい違和感を感じる。

切り藁、麻ひも、木札、そういうものはいずれ自然にかえるけれど、ビニールやプラスチックはそうはいかない。いつまでも、いつまでも残る。あまりに劣化すると粉々になって土に混じり、一瞬見えなくなる……気がする。でも、微生物に分解されて、土と同化することはしない。見えないだけで、残る(ここまでくると、もう拾えない)。

廉価で便利。だから「もう絶対使わない」とは言わないけれど、買う前にちょっとだけ考えなくちゃ…。

安易なものは、安易にゴミになる気がする。超消費型社会? 循環型社会? えらぶのは自分。

 

 


2013-04-21

暑さにも寒さにも…


負けず……と言いたいところだけれど、

寒さには弱く、ストーブを焚いてPCに向かって原稿を……と思いつつ、瞼が重くなってコックリコックリ……。

先週から鳴き声が聴こえるようになった庭の虫も、ミニ池に入り込んだと思われるトノサマガエルの声も、この数日はさっぱり。この寒さ、虫だってカエルだって活性が下がるよなあ。わたしもいっしょ。(低血圧で平熱も少し低いので、寒さにはめっぽう弱いのです)

テレビのニュースで、たしか仙台?、蕾が開いた桜に雪が降り積もっている映像を観てびっくり。25日からは再び岩手・釜石へ行く予定なので、何を着ていくか、持って行くか、少し悩みます。

さすがに今後はそこまで寒くなる日はないだろうけれど……いや、でも震災の年は、5月連休明けでも底冷えする日があって、朝、息が白くなった日があったっけ…。

絵本でずっと取材をさせてもらっていた、釜石東中の今年の卒業生(今高校1年生)たち、どうしているかな? 朝、ちゃんと起きて、高校へ通っているかな? この寒さの中、自転車を飛ばして通っているのかな。それとも、バス通学……?

漁師のおじちゃん、おばちゃんたちは、どうしているだろう? 海はまだまだ寒いよな……ワカメ漁、今年は調子いいんだろうか? 

あ、出かけるまでに、インゲンの種を播くのと、長ネギの植え替えをしておかなくちゃ……。   

    *      *      *

ぼんやりしながら、頭の中はグルグルぐるぐる……。虫やカエルもは、穴の中で何を考えているんだろ…? 

アーノルド・ロベールの『がまくんとかえるくん』をふと思い出しました。好きな本です。

 

 

 

 

 


2013-04-02

雨、散歩、本


タイトルにひかれて、手に取った一冊、『春を恨んだりしない 震災をめぐって考えたこと』池澤夏樹著(中央公論社)。

震災後、池澤さんが感じたこと、考えたこと、東北に行ったときのこと、原発のこと、いろいろが書かれてある。読んでいて、すこし重い気持ちになったり、ハッとするようなひとことに出会ってドキンとしたり、この2年で出会った東北のたくさんの友や海やがれきの町を思い出して、読み終わったときは大きなため息をついた。

この本には、モノクロの写真もたくさん入っている。東北沿岸部の被災後の風景…というか、空気が写っていたが、これが池澤さんのことばと合って、とてもよかった。

 

郵便局まで用があって、ふだんだったら車で行ってしまうところを、今日は雨の中、ブラブラと歩いて行った。本の余韻を味わいたかったからかもしれない。

ちょっと歩けば、ほんとうにいろんなものが見えてくる。水たまり、緑、花びら、土のにおい、春。

感じるってことは、生きているってこと。自分も、地球も。

「たまたま生き残っ我々」、その責務、「東北の人々と共に踊る日のためにできることのすべてをした上で、その日を待ちながら、一人ででも踊る」池澤さんのことばが、腹の底に響く。

 

 
 
雨の中を歩きながら、八島太郎の絵本『あまがさ』のモモを思い出す。
どっちもすばらしい本。
本ってやっぱりいい。



2013-04-01

今日


午前中、東北の友人からメールがあった。

「昨日で職場、やめました」

ドキッ……やっぱり……。いろいろあって悩んでいる様子をいつも聞いていたからなあ、とうとう決断したか……。職場の状況、友人の悩んでいる姿、いろいろ考えて、すぐに返信できなかった。

 

やっと返したのが、

「大変だったのはわかってたけど……だいじょうぶ? 今度会ったら、ゆっくり話しよう」

ため息が続いた。被災して仮設暮らし、次の仕事は? ……わたしに何ができる?

 

それから間もなく、返事がきた。

「今日は何月何日かな?」

(えっ、仕事を辞めて、日にちもわかんないくらい落ち込んでる…?)

カレンダーを慌てて見て、返信しようと…… あ……!!!!!?

4月1日 _____  April fool 's day

ヤラレタ…… 思わず大笑い。と共に、ドーッと脱力。

いやあ、東北人のユーモアとたくましさに、たまげたべー。「自分の境遇を笑って話せるようになってきたら、物事をだいぶ客観的に見られるようになってきた証拠」なんて言われることがあるけれど、ほんとにもう、すごい!!

まだまだわたしは、かなわんなあ(苦笑です)。