『はしれ、上へ! つなみてんでんこ』〈ポプラ社〉
東日本大震災の発災時、岩手県釜石市の子どもたちは、日ごろから学んでいた津波防災の知識や避難行動を活かし、多くのいのちが助かりました。
この絵本は、中でも海に近い場所に学校があった鵜住居小学校と釜石東中学校の子どもたちの、当時の避難の様子から被災後の生活までを描いています。すべてが、彼らの生の言葉・体験です。
その時できる最善を尽くし、子どもたちが助け・励まし合って命を守りぬいた行動や思い合う心には、数え切れないほど学ぶ点があります。
*別刷り「てんでんこ新聞」付き。
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震災後、鵜住居の子どもたちと長く関わりながら、彼らが精一杯話してくれた体験を、「ぼく(主人公)」の視点でまとめた一冊です。「津波/命てんでんこ」という言葉は、決して「自分だけが助かればいい」というものではなく、「自分のいのちは自分で守る」=「自分たちのいのちは自分たちで守る」ことを、私は彼らから学びました。
子どもたちは宝、そして希望。この1冊が、海(自然)とのつき合い方、いのちについて、じっくり考えるきっかけになれば幸いです。(さしだ)