2021-02-20

人形づくり修行中...髪ふき


本の仕事や畑仕事の合間に、師匠(雛人形の頭師)の元へ通って人形づくりを教わる日々。

ここ数回は、自分で面相を仕上げた小さな市松人形の頭に、髪をつける(髪ふき)作業です。

人形の髪に使っているのは、基本、絹糸やナイロン糸を黒く染めたもの(写真は絹糸)。絹糸とナイロンでは光沢も手触りもだいぶ違い、どちらもそれぞれの良し悪しがあるので、人形によって使い分け。

この絹糸束の端に竹ベラでノリをしごくようになじませつつつけて、顔に合った長さに切ったものを、前髪、脇、後頭部と順にペタッと貼りつけていきます。(完成までには、この後にもう1段階工程あり)

 

 

このノリを絹糸束につける作業一つにしても、何度やってもうまくいかず、本当にむずかしい。師匠はリズムよくスイスイトントンやってしまうのに、いくら同じようにやってみても(自分ではそのつもり)、糸にノリが染み込まない、ムラができてしまう。

ノリの浸透が甘いと、髪が人形の頭にペタッと貼りつかないし、後でパラパラ落ちてきてしまうことに。指で抑えてなんとか付けようとすると、今度は髪が自分の手にグチャグチャくっついて... 。「あ...なんでこうなるかな...」と時々ため息。

とはいえ、日々形になって行く行程は面白いし、「失敗してこそ覚える!」と、めげずにチャレンジ。

こういう手作業が何百年も受け継がれ、日本の雛人形は作られてきたのです。が、今は素材も作り方もかなり効率化し、伝統技術が消えつつあります。

少しでも覚えて、なんとか繋げられたら... とまではとてもいかないかもしれないけれど、とにかく今は作業を覚えるために全集中! 別な脳を使う、大事な時間です。

男雛の髪ふき作業。大きな頭になると、師匠は全身使って作業をしています