ぼんやきゅう が見られる
7月に完成した『ぼんやきゅう』絵本。
震災前まで、夏・お盆に開催されていた浜の父さんたちの熱い闘いの、復活のお話。今年も岩手の釜石市鵜住居地区で8月15日に無事開催。
参加は6チーム。選手の中には、七年前『はしれ、上へ!』絵本の取材した小中学生が、おおっ!? と思うほど立派な若者になって参加していて、もうすっかり親戚のおばちゃん気分。
「大きくなったねー」「ちょっと、えらいかっこよくなったじゃん!」
浮き立つわたしに、
「指田さん、変わんねーな」
ん、それってほめられた? ...はさておき、あの子たちの大成長を見られて、喜びで足の先から頭のてっぺんまで桜色に染まる感じ。神様仏様お盆様、ご褒美ってこういうことを言うんですね、あゝ、有難や、ナンマイダブナンマイダブ...
「盆野球」という言葉を初めて耳にしてから完成まで、約2年。この絵本も、大事なだいじな一冊になりました。
今なら、長谷川義史さんのすてきな原画が、都内のギャラリーで見られます。ぜひ!
表参道のピンポイント・ギャラリー:8/27〜9/8
防災の、黄色いタオル
今日は居住地域の防災訓練。留守が多くてなかなか参加できない反省もあり、今回はしっかり参加。
今年から「安否確認タオル」の運動がスタート。先日、町内会の防災委員会から各家に配られた黄色いタオルを、今日は朝8時半までに家の外(見えやすい場所)に結びつける。これは災害時、「この家には救助を必要とする人はいませんよ」=安否確認がスムーズに行える工夫(運動)だ。現在、色々な地域で行われている(元は黄色いハンカチ運動。神奈川県内などで盛ん)。
これって、釜石でいうと、東日本大震災前に中学生たちが考えた「安否札」と同じ仕組みだ。ただし釜石の場合は「オレンジの紙(A4)に〈避難しました〉と書いてラミネートしたもの」で、津波襲来をおそれての事前避難を示す=「安全な場所に避難したので、家には誰もいないですよ」ということを示している。これを震災前に考えついて、地域に配って歩いた子どもたちの想像力と行動力に改めて感服してしまう。
地味な活動に見えるけれど、町内全域に安否札やタオルを配って具体的な訓練までするというのは、思っている以上に簡単じゃない。でもそれが、いざという時にものすごい威力というか効果を発揮する(本当は、そういう事態にならない方がいいのだけれど)。
今日はその後、近くの公園で消防署の方の指導のもと通報訓練や消火訓練が行われて終了。子供連れの家族も含めて150人近く集まり、水が入った消化器で的をねらう消火訓練は、特に子どももキャッキャ言って大人気だった。もちろん私もおぼつかない手つきで消化器訓練に参加。
束の間の晴れ間、楽しい防災訓練だった。楽しいって、やっぱり大事。町内会防災委員会&班長さん、本当にご苦労さま!
9.1 防災の日・てんでんこ
各地の大雨被害が気になるこのごろです。
「被災地」という言葉から、みなさんが思い浮かべる地域はどこでしょうか。
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私は東日本大震災で東北に関わるようになり、現地の様子を絵本の形で描きとめてきました。
この七年を通して、今率直に思うのは、〈自分が住んでいる地域もふくめ、いつどこでも災害に見舞われる可能性はある。隣り合わせなんだ〉ということ。これまで割とのほほんと生きてきたわたしには、日々適度な緊張感・意識を持って暮らすことの大事さを学んだ、貴重な日々でした。
でも中には、「心配ばかりしていたら何もできない、子どもも外に出せない」と考える人もいるかもしれません。でも少し視点を変えてみると....「生きていると本当にいろんなことに遭遇する。だから楽しかったり興味のあることはもっと深められるよう、また危険や不安をおぼえた時にはどう回避したり越えていけばいいか想像して、色々くふうする知恵や力をつけておこう」と考えれば、内向き一方向に陥らず、開かれた世界にチャレンジ・飛び込んでいくのびのびした力強いものになると思うのです。
残念ながら、私たちはこの世で起こるすべての物事を体験することはできません。でも、それを知る「知恵や方法」はある。本や文献や新聞、ネットで過去の歴史を調べたり、この数十年くらいのことなら映像で見ることもできる。近くに体験した人がいれば直接話を聞くこともできる。もしかしたら小説や映画に、そのヒントがあるかもしれない。そこで何を感じたかをしっかり胸に留めて、自分で考える。ぼくだったら、わたしだったらどうするか、どうしたらいいか...そして、ちょっと試してみる。
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この絵本で描いた子どもたちから、気づかされたことーー
「おや?」と思った気持ちを素直に受け止めること、確認し自分で考えて行動すること、工夫すること、励ますことは励まされることでもあること、どんなことがあっても生き抜くこと。そう行動できるには、やはり心構え(準備や訓練)が大事なことなど。そしてその傍らには、子どもたちと共に学びながらいのちを守ることに正面から向き合ってきた、学校の先生方や多くの大人の存在があったこと。
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残念ながら、自然災害からの様々な被害を0(全く無し)にすることは無理で、いつの時代になっても「被災地」という言葉は無くならないと思います。でも、その規模や人命被害をできるだけ少なくする工夫や方法は絶対にあるはずだと信じています。
この絵本が、お子さんといっしょにそんなあれこれを考えて会話を交わす一助になれば幸いです。それからもう一つ、絵本の初めと最終ページに自然豊かな海の絵を配しているのは、私たちがこの自然、地球で生き、生かされている存在であることを、心にしみこむように感じてほしい......との思いから。伊藤秀男先生の迫力ある絵も、ぜひじっくりみてください。
長くなってしまいました、反省。
夏旅ほうこく・前半@岩手〜秋田
この夏は、東北の太平洋・日本海側をめぐる長逗留の旅でした。
7月前半は岩手の釜石中心、後半は秋田のにかほ・象潟へ。
釜石では、今まで知らなかった絶景に驚愕。秋田では、鳥海山の伏流水の迫力と冷たさにブルッ、そして見事な夕日にほーっ。
移動途中、野良道を生足で歩いていたら、ブヨに30箇所以上刺されて痒いのなんの。しばらくヘロヘロしていましたが、気を取り直してハイキングへgo。
今さらながら、まだまだ知らない日本がたくさん。こぼれ話や詳細は「旅ぽんぽこ」で紹介予定です。
...それにしても、田んぼのあぜ道を甘くみてはいけません。帽子、長袖長ズボン、長靴、虫除けスプレー必須。年齢のせいか、まだ掻き傷が消えず....とほほ。
絵本のお話会 @埼玉・鴻巣8月
8月11日の山の日には、埼玉県防災学習センター「そなーえ」で絵本の読み聞かせ会を。
夏休みとあって、館内は親子連れでいっぱい。この人たちがみんな読み聞かせ会に来たら、会場があふれちゃう....! と思いきや、実はこの日は同センター3階で、午前と午後に工作イベントがあり(つくろう! おかしのおうちのちょきんばこ)、それに参加する親子連れがすごーく多かったのでした。(夏休み中、センターでは盛りだくさんのワクワクイベントを開催。冷房も効いているし、隣にスーパーマーケットもあるので、1日学びながら遊べる優れた施設)
午後1時半からのお話会は、写真の通り。スクリーンに絵本の絵を映しながらの朗読は、ここが防災学習の場なので、『はしれ、上へ! つなみてんでんこ』。
震災を生き抜く子どもたちのお話は、真に迫っていたのか(会場の照明を少し落としたこともあったからかな...)、子どもたちが津波を背に高台に走って逃げるシーンでは、私の前にいた4〜5歳の僕ちゃんがお父さんの腕をぎゅっ...。それでもしっかり絵を見てくれていました。
小さい子にこの絵本がどれだけ理解できるかわからないけれど、作者の私としては、決して怖がらせる気持ちはなく、「小中学生のお兄ちゃんやお姉ちゃんたちが助け合って津波から一所懸命に逃げて、今もみんなが精一杯生きている。海は怖いだけじゃなく、お魚なんかもいっぱいいて、大事なものなんだ」といニュアンスだけでも伝わればと、そんな思いでした。(とはいえ、ちょっと難しかったかな...)
もし機会があったら、今度は、子どもたちの心の復興を支える大人たちのがんばり、素敵な公園と大壁画を描いた絵本『あしたがすき』を読みたいな...と思った私でした。
▼会場の壁には、『ぼんやきゅう』絵本の原画も展示。せっかくだったら、『ぼんやきゅう』も読めばよかったか....うむ、課題は次に活かそう。
絵本のお話会 @釜石 7月
遅ればせながら、この夏の活動の様子を。
まずは7月初旬に発刊された『ぼんやきゅう』(ポプラ社)のお披露目&お話会を、7/7七夕の日に釜石のミッフィーカフェで開催。
簡単な自己紹介の後、『ぼんやきゅう』の朗読。原稿執筆段階から何度声に出して読んだかかわからないこのお話も、人前で読むのは、お初の初。間違えないように読まなくちゃという思いと、前にいるお客様に絵(ページ)をしっかり見せなくてはいけない、という二つの動作を一人でこなさねばならず、あまりの緊張に頭に血が上ってボーッ。冷や汗もダラダラ...。
その後、何をどう喋ったのかよく覚えていませんが、これまでに出した2冊の釜石の絵本『はしれ、上へ!』、『あしたがすき』も含め、取材秘話や 絵に隠された思いや背景などを、お話しした...ようです。
会場には、知人友人、これまでに取材でお世話になった方々など、ほとんどが知り合い状態。これがまた冷や汗の元でありました。(大勢の知り合いの前で話すって、意外とキンチョーするのです)
でも司会を買って出てくれた桑畑書店社長・桑畑さんの迷司会?のおかげで、会場は時折大爆笑。いらしてくださった皆さん、サイン本を購入してくださった皆さん、本当にありがとうございました。
*翌7/8は釜石市立図書館でも、お話会(+DVD試写会)も開いていただきました。
DVD試写会は、今回絵を担当してくださった長谷川義史さんが出演する、大阪毎日放送の「ちちんぷいぷい〈とびだせ!えほん〉」特別編で、『ぼんやきゅう』の取材で長谷川さんが釜石を訪れた時の様子が、楽しくまとめられたもの。
▼この写真の右で、頭を抱えている?のが桑畑さん...
ちょっとおもろフシギph -part1
あちこち出かける時には、必ずカメラを首にぶら下げてテクテク歩きます。
フッと通り過ぎたものの、「あれっ?」と後戻り、そして、クスッ。
おもしろ素材は、全国各地にた〜くさん。
この夏は東北〜北海道遠征する予定なので、ワクワクがいっぱいです。
新刊絵本『ぼんやきゅう』が間もなく
震災後、しばらく住み、また通い続けている岩手県釜石市舞台の絵本が、間もなく発刊されます。(7月5〜6日には店頭に並ぶ予定)
タイトルは、『ぼんやきゅう』(ポプラ社)。舞台は釜石市の沿岸部、鵜住居地区。ここで戦後から続いてきた、父ちゃんたちの一大イベント盆野球大会(毎年お盆に開催)。震災で途絶えていたこの盆野球大会が、2017年夏に再開するまでのみんなの奮闘記。
2016年秋から地域の方々にお話を聞き始め、いっしょに大会再開に向けて動きながらの本づりでした。
絵は、長谷川義史さん。釜石にも取材にいらしてくれ、いろんな情景や思いを見、感じ取って絵にしてくださいました。
7月7日には、発刊に合わせて、釜石のミッフィーカフェさんで、私のお話会も開きます。会場には、絵本の原画も数点展示予定です。
絵本の読み語りのほか、取材秘話、絵本作りの苦労やよろこびなど、楽しくお話できればと思っています。同じく釜石が舞台の絵本、『はしれ、上へ!』や『あしたがすき』のお話も。
絵本に興味のある方、長谷川さんの原画を見たい方、七夕のひと時をミッフィーカフェで、ぜひごいっしょに!
*その後、釜石市立図書館さんで原画展示などを予定しています。(詳細は後ほど)
はるかのひまわり咲きました
雨の埼玉、わが畑。
でも体がなまってなまって、一汗かきにななめ前の畑へ。
なんと、はるかのひまわりが咲いてる!
確か昨日はまだ、開いてなかったのに。
はるかのひまわりは、神戸の震災の復興の花。毎年、わが畑でも、花を咲かせています。
ぐるり畑を見渡せば、昨日に引き続き、キュウリ一本に、初ナス発見。
雨は止まねど、心晴れ晴れ。しあわせです。
母校・後輩たちからの感想
先月3/6、母校・埼玉県立熊谷西高校で講演をさせていただきました。三十数年ぶりの母校。
タイトルは「いのち・希望にむきあう絵本づくりに掛ける
〜自分の目・足でつかむ勇気と未来〜」
かなり固いタイトルになってしまいましたが、お話した内容は、これまでに書いた絵本や現地の子どもたち・人々との関わりを紹介しながら、「いろんな生き方があることを知って、将来や未来を不安なものととらえず、今やれることを精一杯やってほしい」ということでした。
「自分しかできないことではなく、自分だからできることを」。「ひたむきに」。
そして先生にお願いし、みなさんの感想文(ペーパー)を、全部送っていただく事に。
講演の感想を知りたかったのが半分、もう半分は、今の高校生達がどんなことを考えているか、何に悩みながら日々生きているかを知りたかったこともあります。それは、わたしの高校時代と近いのか、まったく違うのか…。わたしの発した、どの言葉に反応したのか。
先日届いた郵便は、両手にどっしり。うれしい重みでした。
時代を超えた、おくびょうさと好奇心が入り交じった青春期の悩み。現代の若者らしい指摘。ふせんをつけながら読み始めたら、あっという間になくなって買いに走ったほど。
さまざまなことを考えさせられました。
西高生のみなさん、ありがとう。先日、学校にお手紙を書きました。わたしの思いが届くとうれしいです。
いつかまたかならず、母校におじゃましたいと思っています。
フレーフレー西校生! フレーフレー若者達!