2023-01-14

祖父の古い写真


年が明けて数日後、実家の母から

「これ、お願いできる?」

と渡された一枚の写真。母の父親(わたしからすると母方の祖父)の、若いころの写真だった。複写してほしいという。

暮れに母が実弟に会ったとき、持っていたものを借りてきたらしい。

「おじいちゃん、若いころはキリッとした顔してたねえ」

母がポツリ。

 

祖父・卯一郎は、わたしが小6の秋に亡くなった。当時80代後半。

その記憶はとてもぼんやりしたもので、夏、古い農家の二階(昔、蚕をやっていた広い部屋)で上半身は裸、薄手の股引みたいなのをはいて、片膝ついて団扇をパタパタやっていた姿だ。だいぶやせて動作もゆったりしていて、わたしが二階に上がって顔を見せると、

「おお....... かずこ... かぁ....」

と、顔をこちらに向けて、にっこりしたのかどうかもよくわからない表情で声をかけてくれた。卯一郎おじいちゃんとの会話で覚えているのはそれくらい。でもおだやかな、優しい声は耳に残っている。

とはいえ同居していた父方の若々しい祖父と比べると、子ども心に(卯一郎おじいちゃんは、おじいちゃんっていうより、ひいおじいちゃんみたいだな)と思っていた。

 

その祖父の、若かりしころの写真の表情は思ったより凛々しくて、わたしの中で印象がガラリと変わった。隣の軍服の若い青年は、祖父の年の離れた弟だという。

弟が戦争に行く前に、記念に撮ったものか。メモも何もないのでいつ撮ったものかはっきりわからないが、多分祖父が40代前半か...。

養蚕と畑と米作りで朝から晩まで、とにかく働きづめだったという祖父。初めに結婚した妻とは二人の娘をもうけるも、その妻は病気で亡くなり、のちに結婚した相手がわたしの祖母になる(母の実母)。親せきの口利きで夫婦になるも、年の差は約15才。どちらも苦労が多かったようだが、二人の間に四人の子が生まれる。

当時は暮らしも豊かではなかったと母に聞いていたので(母は高校に行かせてもらえなかった)、こんな紋付袴で膝には帽子まで置いて写真を撮るハイカラな印象は、ほんとうにびっくりだった。帽子は写真館で借りたものかもしれないけれど...

『ヒロシマ 消えたかぞく』絵本づくりで鈴木六郎さん一家の写真に出会ってから、色々な古い写真に目が留まるようになっていたけれど、灯台下暗し。我が家の、わたしにつながる写真はまだちゃんと見ていなかった...。

 

一方、わたしの父方はというと、曽祖父は大正期にアメリカへ渡った移民だ。家族を置いて一人渡米、事情があって亡くなるまで日本に帰国することはなかった。

一時期、この曽祖父のことが気になって移民のことを調べたり、アメリカまで調べに行ったこともある。たしか実家の物置の奥に、その曽祖父関係の写真があったような... 

日々のことに追われて、この15年ほど、それもほったらかしにしていた。

今の自分が存在するのは、その人たちの存在があったからだ。

卯一郎おじいちゃんのことも、アメリカへ行った曽祖父のことも、調べるなら今だ...  そんな気がしている。

 




2023-01-12

滑川町展望台へgo!


お天気続きの先日の連休、子どもの頃によく出かけていた文殊寺(熊谷市江南)へ、三十年ぶりにお参りに。

そのまま少し足を延ばして、「ちょっと短い山登りでもするか」と滑川町へ(わたしはこれまでほとんど行ったことがない地域)。

埼玉県比企郡滑川町伊古 にある二ノ宮山展望台。いったいこの傾斜は何度だ!? (実際この地点は22度程です)

とはいえ、小さな広場のような駐車場に車を止めて山道に入ったら、いきなりの急勾配(はじめは12度程)で、足は上がらん、心臓はバクバク。たった200メートル程度なのに...

頂上について展望台へ上がると、東西南北スカッと開けた景色。

秩父まで行かなくても、こんな良い眺めとウォーキングロードがあったんだなあ。

季節が良くなれば、きっといろんな虫やらカエルやらがたくさん出てきそうだなあ〜。また自然観察に来よう。

体力づくりはすべての基本。

取材に出ると、とにかく大荷物を持って歩かないと始まらないので、足腰鍛錬は必須です!

看板のマムシ写真が妙にシャープでいい感じ。
我が家にはまだマムシの写真がないので、どこかで撮りたいが...
ホントに出くわしたら、やっぱりこわいな...
おおっ、なんと開けた展望台!
北方面の景色。
ずーっと奥(先)にうっすら見えるのは高崎あたりか
落ち葉をカサコソ帰り道
ロウバイの香りが好きです



2023-01-06

今日の空は


飛行機雲がはっきり見える

ということは、明日の天気が崩れ気味の予感。

・・・

去年の暮れごろから、折に触れて心にかかっていた言葉を

筆ペンでしたため...

三日坊主のわたしは、こういうことはほぼやったことがないのですが、

今年はそういう気分になっています。

大いに笑ったり転んだり、四苦八苦しつつも、

だいじにしたい心持ちです。




2023-01-04

再・あけまして ハニワです


今年は、より歩こう! 

と、元日は徒歩で小一時間のさきたま古墳群&前玉(さきたま)神社へ(埼玉県行田市)。

ここは小学一年生の時の「歩け歩け遠足」以来、何度来たかわからないくらいの馴染みの場所。

●さきたま古墳群 https://sakitama-muse.spec.ed.jp/埼玉古墳群紹介

 

テクテク歩いていると、いろんなものが目に飛び込んできて楽しいひと時。

最近整備された公園で、ジュディ・オングのようなハニワちゃんとツーショット。

去年はおっちょこちょいが嵩じて、ケガ、やけど、忘れ物など難の多い年だったので、今年は少し落ち着いて、ハニワのように何事も動じずにいきたい...

(微動だにせずも、さすがにまずいが...)

 

行田って足袋の歴史もあるし、TVドラマの「陸王」の舞台になったりと、近ごろすごくがんばっていて面白い。

田山花袋の『田舎教師』の舞台も、熊谷〜羽入〜行田周辺。

機会があったら、皆さんもぜひお越しを!

( ウチは隣町なんですが...)

あっ、いけない、『のぼうの城』の舞台も行田でした!

ホントに間近、手が届きそうな場所に古墳群!
 
これは古墳ではなく、元日の新・モグラ塚
 
前玉神社の脇道で見つけた、懐かしい光景と子どもの笑い声。
道路に蝋石で絵を描いて遊ぶなんて... 
見たのは30年ぶりくらいかも
春は着実にそこまで。水仙が満開
(だけど香りがしなかったなあ...?)
前玉神社の絵馬が、なぜかネコ
手水に生花がたくさん
行田では神社や商店や民家の軒先きなどで、
「行田花手水」というイベントをやっている様子
https://www.gyoda-kankoukyoukai.jp/hanachozu.html
 
麦畑、好きだな...
子どものころ、寒の早朝に麦踏みを手伝ったことを思い出し...
いつの時代の人だって言われるかもですが、ホントです
関東平野から群馬の赤城山が、今日は見え... ない...
でも、雲があると夕空はドラマチック



2023-01-01

2023 あけましておめでとうございます


畑仕事や散歩のとちゅう

思わずハッとする

小さな草花の凛としたたたずまい

春よこい 早くこい・・・

お身体を大切に 彩ある一年になりますよう

2023年元旦 さしだ かず


2022-12-31

良いお年を お迎えください


どなたにとっても

一年の疲れをこの時期にゆっくりいやし、

元気で平和で暮らせるよう、じっくり思いめぐらせる

大事な時間になりますよう。

 

さしだ かず




2022-12-28

いつでも あるもの活用


ずっと気になっていた、軒先内側の天井部分の、クモの巣やホコリ。

(この部分のことを「軒天」というのを、今日調べて初めて知って、

妙に感動。軒先天井、軒裏天井・軒天 というわけ

前にテレビで、お寺や神社のすす払いの映像を観たのを思い出し、そうだ!

と思い立って、実家のやせ細った竹林に出かけ、細竹を一本失敬。

( 前もって「もらうよー!」と了解済)

サワサワ音をさせながら、クモの巣、とれましたー。

積年の懸案事項がやっと...

お昼の準備に、ちょっと畑へ。

手をかけなくても、これだけ採れるだけでしあわせ。

去年掘り残しの、放っておいた小さな里芋が親芋になって、脇に里芋もいくつかできたり。

あれれ、取り残しのワタが、弾けてこんな感じに。

ワタの実の形(ちょっと弾けてワタが出てきたところ)が、なんとも言い難い素敵な形。

大した世話はしていないけれど、育んだものを手にする、いただくって、それだけで豊かな気持ち。

世の中で足りないのは、この時間がかかる「育む」ってことじゃないか...

とブツブツ独り言を言う、年末のひと時。




2022-12-23

今年の旅と思い出・山形


11月半ば過ぎ、山形の遅筆堂文庫へ出かけた時に寄った、斎藤茂吉記念館。

https://www.mokichi.or.jp

木々に囲まれた静かな場所にあり、展示も充実していました。

茂吉さんの人となりがよくわかり、なぜその歌が読まれたかなどの背景も詳しく紹介されてあって(ビデオや短い映像も有)、グイグイと引き込まれてしまいました。

短歌や俳句は興味がありつつも、これまでなんとなく避けていたわたしですが、短歌はいいなあ(自分に合うかも..)と、お腹の底の方で落ち着く感じがありました。

遅筆堂文庫からも数キロ圏内。

山形の文学や芸術はいいなあ。この自然や暮らしがつくりだすのかなあ。

来年も良い時期に、また行こう。釣りも兼ねて。

駐車場からは、鉄道をまたぐ橋を渡って記念館へ。
最寄りの駅は、なんとJR奥羽本線「斎藤茂吉記念館前駅」。駅から記念館まで徒歩3分。
記念館の入り口前には茂吉さんが。
朝は雨が残っていたものの、だんだんと薄日も射して...
記念館から車で10分内、須川べりにある歌碑。
元、火葬場があった場所。
風、空の色、時空を超えて茂吉さんと気持ちが重なる一瞬。
その場所に立ってみることのだいじさ。
おまけ。山形のすき焼きやお料理、忘れられないお味。



2022-12-18

来年8月に滋賀県内で


来年8月、滋賀県内で『ヒロシマ 消えたかぞく』写真絵本のパネル展(約1ヶ月)と、期間内(8月半ば過ぎ)にお話会を開くことになりそうです。

先日の広島の帰りに途中下車、打ち合わせをしてきました。

場所や日にちが決定したら、またご報告いたします。

・・・

滋賀県といえば、何と言っても琵琶湖。

ご縁ができたこの機会に、琵琶湖周辺の自然や歴史を思う存分探索しようとワクワクしています。

新しい土地に出かけることは、その地域の歴史文化や風土に触れる機会でもあり、「これは!?」と思うような題材や人に出会うことも多々。

来年あたりから、琵琶湖周辺でもウロウロすることが多くなりそうで楽しみです。首にカメラ、黄色いリュックサックを担いだ小太りおばさんを見つけたら、ぜひお声をかけてください。

p.s.

米原から新幹線に乗る前に、「和菓子といえば、こちら!」のお店へ。

埼玉に帰ってきてから、とあるお店でバーゲンブックのセールを見つけ、パッと目に入ってきたのがこの本。頭の中がすでに滋賀(近江八幡)モードに...。

立派な建物と石畳。貫禄!
 
近江商人の矜持が詰まった一冊。「三方よし」商いの精神は、
時代を超えた奥深い格言だと思います

2022-12-16

おおきなダイコン、よっこらしょ


この11〜12月は出かけることが多くて、なかなか畑の手入れができず。

畑に行くのも夕食準備の薄暗い時間になってから、

(あ、ダイコンとニンジンとチンゲンサイ採ってこよう!)

と適当に葉っぱの立派そうなダイコンから引っこ抜いていたのですが、先日、(わあ、こんな大っきなのがあった!)とびっくり。

『おおきなかぶ』のお話のように、よいこらしょ、どっこいしょ、スポン!

水気たっぷり、2キロは優に越すダイコンが採れました。

葉っぱの裏のトゲが人差し指の腹にブスッと刺さって飛び上がる痛さの、元気なダイコンくん。

ところが... くるっとひっくり返してみると...

下の方の黒くなったところをくりぬいて見たら、体調25mmのハサミムシ発見。

このひび割れの原因はお前かー!

とはいえ味は辛味も程よく、おでんやふろふきダイコン、大根おろしに使っています。

なんてことないけれど、やっぱり畑に出ると幸せです。